地域団体ストーリー

利府町刈安染めプロジェクト

利府町刈安染めプロジェクト

古くて新しい利府町の文化「刈安染め」

古くて新しい利府町の文化「刈安染め」

刈安(かりやす)はイネ科の植物で、同じイネ科のススキに似た見た目をしています。この刈安を煮出して布などを染める「刈安染め」は、平安時代に京都から利府町に伝わりました。今回は、刈安染めを広める活動を行っている「利府町刈安染めプロジェクト」代表の佐藤春美さんに、活動を始めたきっかけや刈安染めの特徴について伺いました。
インタビュアー:鈴木桃香(Pocci!学生チーム)

町の伝統文化を再発見

―― 「利府町刈安染めプロジェクト」では、どのような活動を行っていますか?
刈安染めをもっと多くの方に知ってもらうため、刈安染めの商品開発や刈安染めを体験する「染め会」を行っています。2024年から一般の方向けに年2〜3回のペースで出前講座を始めました。はじめは町内の方々が中心でしたが、テレビや新聞の取材を受けてからは、町外の方にも多くお越しいただいています。

―― このプロジェクトが始まった経緯を教えてください。
2021年に利府町女性リーダー育成事業で刈安染めを知ったことがきっかけで、メンバーで利府町刈安染めプロジェクトを立ち上げることになりました。

私自身、大学時代に芸術文化や伝統芸能を国内外に広める活動をしていました。訪れる各地で地域の過疎化や文化の後継者不足といった悩みを抱えているのを目の当たりにし、もどかしい気持ちや一助になりたい気持ちがずっとありました。刈安染めも、せっかく利府町に残る良い文化なのに、事業が終わったら町の人の目に触れる機会も少なく、埋もれてしまうのはすごく残念だと感じたのです。

物語のある染め物

―― 佐藤さんが初めて刈安染めを体験した時、どんなことを感じましたか?
まず、自然の草を染料として使い、鮮やかな色を出す先人の知恵に感銘を受け驚きました。刈安で染めた色は刈安色と呼ばれ、日本の伝統色の一つで青みがかった黄色とされています。媒染液の種類・濃度や布の種類によって色味が異なるのが奥が深く面白いと思いました。

―― 染めた布に媒染液をかけると、段々と色が濃くなっていく様子を見て感動しました。
媒染液にはミョウバンや椿の灰汁を使うのですが、それぞれ色合いが変わり、化学染料では出せない風合いがあります。刈安染めの黄色は太陽みたいな色なので、見ると元気をもらえますね。

―― 佐藤さんにとって刈安染めはどのような存在ですか?
素敵な物語のある、途絶えさせたくない文化です。利府町にある染殿(そめどの)神社には、「染殿姫命(そめどのひめ)」が祀られています。その姫は、都から身重で利府町にやってきて出産し、その時にお世話になった人々へのお礼として刈安染めを教えたと言い伝えられています。

この言い伝えからは、色々なメッセージを感じました。例えば、子育てをしている私にとって「子育ては一人でやらずに誰かを頼っていいんだよ」など……。現代の子育てをしているお母さんたちって「孤育て」になっている方が多いと思うんです。当時のお姫様も、「困っている」と町の人に声をかけたのがきっかけで助けてもらい、交流が始まったので、現代でも、刈安染めが世代間交流のツールになればいいなと思います。染め会には、小さい子どもからお年寄りの方までどんな世代の方にも来ていただいて、一人じゃない、誰かに頼っていいんだよとか、 世代の違う人との出会いや何気ない会話の中で子育ての仕方を聞いてみるとか、そういう交流があってもいいんじゃないかと思っています。

刈安染めを子どもたちの学びの場に

―― 今後、プロジェクトで取り組みたいことはありますか。
現在は利府町で自生している刈安を見つけられていないため、県外から取り寄せた刈安を使っていますが、今後は、利府町産の刈安を使って刈安染めを行いたいです。2023年から実験的に栽培に挑戦しているのですが、まだまだ時間がかかりそうなので、2025年は、刈安草が育って、一面に生えている景色を見てみたいです。

―― 自分で育ててみるのはとても良いと思いますし、それを使って自分たちで染められたらまた違った楽しみが生まれてきますよね。
そうですね。プロジェクトのメンバーのご家族によると、昔は染料としてではなく刈安を畑で育て、肥料として梨の木の下に蒔いていたそうなんです。そんな利府町の原風景を皆さんに知っていただきたいと思いますね。

現在は、染め会に参加されているのは大人の方が多いのですが、今後は、子どもや親子向けにも会を開催したいと考えていて、既に文化施設や児童館での開催を予定しています。染める作業は理科の実験にも通ずる部分があり、刈安染めは利府町の歴史とも関わりがあります。さらに、色を学ぶことは美術の勉強にも繋がるので、子どもたちの総合的な学びにも活かせると思っています。

―― 最後に、Pocci!のサイトを見ている方へメッセージをお願いします。
いつもご支援ありがとうございます。いただいたポイントを見るたびに励まされ、活動を続ける原動力になっています。刈安染めのエネルギッシュな黄色で利府町に彩りを添えていきたいと思っておりますので、皆様のご支援を引き続きよろしくお願いします。

Pocci!学生チームの「利府町刈安染めプロジェクト体験記」を読む

利府町刈安染めプロジェクト

利府町にかつて存在した伝統文化の中に、刈安染めがあり、その復元プロジェクトとして始まりました。現代では、多くの布や糸は化学染料で染められており、 同じものを大量生産・大量消費することには役立っているものの、私たちは化学染料より手間がかかっても、一つ一つ違った色を持って生まれるものを大切に、人にも環境にも優しく、心豊かな生活を楽しむ事を目指して活動しています。

刈安の持つ「黄色」は昔から命を守る大切な色とされ、愛と信頼と尊敬を表す色とされてきました。快活で明るく、エネルギー溢れる光を放つ太陽のようなこの色で、多くの人へ元気をお届けできましたら幸いです。

自然の草木から生まれる染料(刈安)を使い、化学的な染料を使用せず、材料を染める工程から商品開発、製作·販売までを行っています。

利府町にかつて存在した伝統文化の中に、刈安染めがあり、その復元プロジェクトとして始まりました。現代では、多くの布や糸は化学染料で染められており、 同じものを大量生産・大量消費することには役立っているものの、私たちは化学染料より手間がかかっても、一つ一つ違った色を持って生まれるものを大切に、人にも環境にも優しく、心豊かな生活を楽しむ事を目指して活動しています。

刈安の持つ「黄色」は昔から命を守る大切な色とされ、愛と信頼と尊敬を表す色とされてきました。快活で明るく、エネルギー溢れる光を放つ太陽のようなこの色で、多くの人へ元気をお届けできましたら幸いです。

自然の草木から生まれる染料(刈安)を使い、化学的な染料を使用せず、材料を染める工程から商品開発、製作·販売までを行っています。

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