地域団体ストーリー

しおかぜホーム

しおかぜホーム

食を通して親子に寄り添う

食を通して親子に寄り添う

宮城県宮城郡松島町の松島文化観光交流館。目の前に広大な海が広がり、潮風を感じるこの場所で、子どもたちが食べるお弁当を作っている人たちがいます。子どもたちへの食の支援をしている団体「しおかぜホーム」を設立した北條久也さんに、食を通して子どもたちに伝えたいことや、北條さん自身の活動との向き合い方について伺いました。

インタビュアー:鈴木桃香、櫻田凌那(Pocci!学生チーム)

「頼れる場所」を目指す

―― しおかぜホームは、どのような活動団体でしょうか?
子どもたちにお弁当を提供する「こども食堂」と、支援を必要としている方に食材や生活用品をお配りする「パントリー」の活動を行っています。基本的には、松島文化観光交流館で、第三土曜日にスタッフ7人で活動しています。富谷市の「ふうどばんく東北AGAIN あがいん」でボランティアをしていたメンバーや、私の家内が活動している「五大堂太鼓の会」の仲間が手伝ってくれたりしています。

―― 北條さんがしおかぜホームを設立されたきっかけは何ですか?
松島にこういった場所がなかったことも理由としてあるのですが、一番は子どもを育てることで手いっぱいなひとり親の方々を支えたいと思ったことですね。私は元々、多賀城市の子育て支援課で、生活に困っていたり、子育てに悩んでいる方たちへの家庭支援をしていて、支援を受けたくても受けられない方をたくさん見てきました。そういった方が頼れる場所を作り、仕事で子どもと一緒にいる時間をなかなか作れない状況を少しでも手助けできればと思ったんです。

―― 具体的に、どのような支援を行っているのでしょうか。
できるだけニーズにあった支援をしたいと思っています。というのも、東日本大震災当時、私は大きな被害を受けた東松島にいたのですが、そこで、実際のニーズと支援の不一致を体験したんです。支援していただいているのにニーズに合わないために支援品が使われないことが多くあり、支援する側もされる側も苦しい状況がありました。しおかぜホームでは、リクエスト用紙を用意して必要なものを聞いたり、ひとり親の支援では、夏休みなどの長期休みの時にはお昼ご飯を提供したりして、できる限りニーズに答えられるように努めています。

親子を繋げるお弁当

―― お弁当の提供では、保護者の方からどんな声がありますか?
10分でも20分でもお弁当を作らなくてもいい時間があるのがとても助かるし、それによって心の余裕ができるので、子どもへの接し方が変わったという声をいただきます。夕食の時に「今日何食べた?」とお子さんと話すようになって、以前よりも会話が増えたと聞かせていただいたことがあり、一つのお弁当が親子の関わりを繋いでくれているんだなと感じました。

―― 北條さんは子どもと食の関わりをどのように考えていますか?
子どもたちにとって食育は、自分たちのルーツを知る上ですごく大切だと思っています。私たちは郷土の食材を使った食事の提供もしていて、色々な食材を味わってもらうことで、子どもたちがいずれ大人になって自分たちのルーツを振り返った時に、「そういえば、子どもの頃食べたこれ、こんな味だったな」と思い出せるようにしたいと思っています。

―― 子どもの頃食べた味って、舌が覚えていますよね。
そうそう。小さい頃から色々なものを食べて、命を食べていることを理屈ではなく体感として身につけてほしいと思います。

その人らしさに寄り添う

― 北條さんが子どもたちや保護者の方と接する上で意識されていることはありますか?
「私自身が支援される立場だったらどうだろう?」ということをいつも考えています。以前、パントリーのリクエスト用紙に、ちょっとした化粧品が欲しいと書いてくれた人がいました。やっぱり子どもにとってお母さんがきれいなことは誇りですよね。「自分は支援されている身だから」と自分らしく生きることを制限するのではなくて、希望と自信を持って自分らしく生きていいんだよということを伝えたいですね。

―― 北條さんがこの活動をしていて嬉しかったことは何ですか?
「自分と同じような境遇でも頑張っている人たちがいるんだな」と勇気づけられるといった声もいただいています。子ども同士が仲良くなったり、保護者の方同士でお茶飲みの関係になったりと繋がりもできているので、私自身もこの活動をやってよかったなと思っています。

21歳から支援しているシングルマザーの子がいて、今は25歳ぐらいになるのかな。その子が、「生活が落ち着いたら、私もしおかぜホームみたいな活動をして、生活に困っている人たちの役に立ちたい」って言ってくれたのは、嬉しかったですね。

「あの時支援してもらってとても助かったし、お弁当美味しかったね」「私も大人になったら支援活動やってみようかな」とか、子どもたちの心の中にそういった気持ちが生まれ、思いやりの連鎖が伝わっていけば、みんなが住みやすい地域社会になるんじゃないかな。そして、子どもたちも保護者の方も、安心できるまで居られる場所を地域全体で支えていくことがとても必要だと思っています。

―― 今後の活動の目標はありますか?
活動を続けることが目標ですね。子ども食堂もパントリーも色々な感想をいただきます。「今度はこんなことをしてほしい」とか「今日のお弁当の〇〇はちょっとしょっぱかった」とかね(笑)。その時々のニーズがあるので、「今何が必要で、何をしたいの?」を問いかけながら一緒に歩んでいく。どちらかというと、支援よりは寄り添うという感じかな。「困っている時は頼っていいんだよ」ということを伝えていきたいです。

Pocci!学生チームの「しおかぜホーム体験記」を読む

しおかぜホーム

経済的な理由や家庭環境などで食事ができない、居場所がないという子供たちや母親を中心に支援活動を行っています。現在は、子ども食堂中心の活動ですが子供たちが明るく未来を語れるように支援を継続していきたいと思いますので、どうか、ご寄付をお願いいたします。

経済的な理由や家庭環境などで食事ができない、居場所がないという子供たちや母親を中心に支援活動を行っています。現在は、子ども食堂中心の活動ですが子供たちが明るく未来を語れるように支援を継続していきたいと思いますので、どうか、ご寄付をお願いいたします。

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