柔道初心者の挑戦
引地さん(指導者):「この道着、息子のお下がりだけど着れるかな?」
数分後…
櫻田:「何とか着れました(笑)」
引地さん:「着れるね!でもちょっと弱そうに見えるな(笑)」
保護者の皆さん:「似合ってるよ!」
丈の合わない柔道着に身を包んだ私を、指導者や保護者の方々が笑顔で迎え入れてくれました。柔道の経験がほとんどない私は、正直柔道に怖いイメージを持っており、この柔道体験に不安を抱いていました。
「こうやって結ぶんだ。」と、代表の白松さんが柔道着の帯の結び方を教えてくれながら、固く結んでくれました。その瞬間、言葉に表せない安心感を覚え、まるで背中を押されたような気持ちになりました。柔道の新たな発見
私が最後に柔道をしたのは中学校の体育の授業でした。当時は、力の強い人たちにねじ伏せられていたので、柔道は力任せのスポーツだと思っていました。
最初に、「受け身」「エビ」「しぼり」といった柔道の基本動作を習いました。普段の生活ではしない動きなので、どれも新鮮でした。一通り基本動作を習った後、指導者の引地さんが突然、私の前でうつ伏せになりこう言いました。
引地さん:「俺を転がしてみろ。」
転がす?・・・私は戸惑いながらも、ありったけの力を込めて転がそうとしましたが、全く動きませんでした。次に私がうつ伏せになり、引地さんが転がす側になると、私は一瞬で仰向けにされてしまいました。
え?・・・
何が起こったのか混乱しながら思い返してみると、引地さんに体のどこかを掴まれた瞬間に抵抗しようとしてひっくり返されました。
引地さん:「これはてこの原理みたいなもので、普通に転がそうと思えば力が必要だけど、相手が嫌がることをすると少しの力で転がすことができるんだ。柔道は人の体の仕組みを理解しているほど強くなれる。」
引地さんの言葉により、私の柔道に対する見方が一変しました。確かに、人は不快な方向に腕や足を曲げられそうになると元に戻そうと抵抗します。それを利用しているから力を入れなくても相手を動かすことができるのかと驚かされました。「怖い」から「自信」に
次に選手の皆さんに協力してもらい、大外刈(おおそとがり)と背負投(せおいなげ)を体験しました。どちらも立った状態で行う技なので、先ほど習ったばかりの受け身を発揮する時がきました。
まずは大外刈を体験しました。
バン!(マットを叩く音)
引地さん:「いいねぇ!」
投げられることに怖さを感じていましたが、意外にも一回投げられると二回目以降は怖くなくなりました。感覚的には、初めてスケートをした時に転ぶことを恐れるものの、一度転んでしまえば平気になる現象に似ています。
次に、誰もが一度は聞いたことのある背負投です。相手の胸倉を掴み、体を捻って腰に相手を乗せて…
オリャ!(心の中の声)
バン!(マットを叩く音)
選手の方が投げられ上手だということもありますが、私でも背負投を成功させることができました!背負投を決めた時の達成感はすさまじく、少し自信がついた気がしました。この体験を通じて、代表の白松さんがインタビューで言っていた「柔道をやっていると自信がついてくる」という言葉の意味がより一層理解できました。柔道への挑戦と絆
みなさんは柔道にどのようなイメージを持っていますか?おそらく、柔道をやったことがないので分からないという人が多いのではないでしょうか。分からない、怖い、不安だという気持ちは、やったことがなければ誰でも抱くものだと思います。
「まずやってみよう」
利府町柔道スポーツ少年団に集まる指導者や子どもたちは、この一歩を踏み出しています。子どもたちの中には指導者のお子さんもいれば、兄弟で教えている指導者の方、かつての教え子、少年時代に共に柔道に励んだ同期の方々もいます。
「帯のような固い繋がり」
このチームを取材して、私はこの言葉が一番しっくりきました。「まずやってみよう」という狭い入口から入った人たちが笑い合い、世代を超えて繋がっている様子は、まるで体験を始める時に代表の白松さんが固く結んでくれた柔道着の帯のようでした。
昭和52年設立、おかげさまで45周年を迎えた団体です。
週一回の練習ですが、みんな少しでも強くなろうと一生懸命に練習しています。
また、生涯続けていけるよう基本をしっかり身につけて長く柔道を続けていけるような指導も心がけています。
飽きない柔道、飽きない練習を目指し指導者陣も頑張っています!!