「榴岡小学校吹奏楽団」は、榴岡小学校の3年生から6年生の団員が所属している吹奏楽団。毎年夏頃に行われる吹奏楽コンクールへの出場や、市民ホール、榴岡天満宮の例大祭などで演奏を行っています。今回は、「榴岡小学校吹奏楽団」の顧問を務める清水涼平さんと渡辺友基さんに、吹奏楽団の魅力や、どのようなことを意識して音楽を届けているのかについて伺いました。
インタビュアー:伊藤あさひ(Pocci!学生チーム)
引き継がれる魅力
―― 子どもたちはどんなきっかけで吹奏楽団に入団していますか?
清水さん:お兄ちゃんやお姉ちゃんが吹奏楽をやっていて、演奏を聴きに来てくれて興味を持つ子が多いようです。あとは純粋に音楽が好きだという理由で参加してくれていますね。
―― 普段はどのような練習をされていますか。
清水さん:個人の練習と合奏を通して曲を仕上げていきます。演奏会のために、朝7時半から朝の会の直前まで朝練も行っています。
―― 演奏曲はどのように決めていますか?
清水さん:コンクールの曲などは先生が決めることが多いんですが、演奏会の曲は、テーマに合わせてどんな風に感謝を伝えたいか、どういう風に演出したいかを踏まえて子どもたちが選曲するなど、できるだけ子どもたちが主体的に取り組めるようにしています。
―― 子どもたちの担当の楽器はどのようにして決めていますか?
清水さん:子どもたちの思いを尊重して一番やりたい楽器をやってもらいたいという思いはあるんですが、全体のバランスも考慮して、二番目にやりたいという楽器を薦めたり、その子に向いている楽器をやってもらうこともあります。「はじめはこの楽器じゃない」みたいなことを感じている子も、卒業の頃には「やっぱりこの楽器やっててよかったな」と言って卒業される子が多いと思います。
―― 中学でも音楽を続けている子が多いのでしょうか?
清水さん:はい、先日も卒業生と一緒に演奏会するということで練習をしました。子どもたちも、凄く生き生きとしていましたね。演奏会に卒業生が聞きに来てくれたりすることもあります。
渡辺さん:先輩たちが後輩たちに色々と教えてあげている姿がすごくいいなと思っています。6年生が3、4、5年生の面倒を見てあげている姿を見ているので、3、4、5年生は自分たちが6年生になったときに困らずに、ちゃんと後輩たちの面倒を見てあげられる。こういうところが引き継がれているのがうちの魅力だと思います。
主体性を身につける
―― 子どもたちを指導するうえで大変なことはありますか。
渡辺さん:自分で考える力を養い、子どもたちに主体性を身に着けさせることです。言葉でいうと簡単ですが、子どもたちの心に火をつけるのはなかなか難しいなと思っています。こっちが熱くなればなるほど押し付けられている感覚を持ってしまうと思うので、どこまでを教えてあげて、どこからを自分で気づいてもらうのかというバランスの難しさはあると思います。演奏面でも、子どもたちの中から出たアイディアを取り入れたり、こう吹きたい、こう演奏したいっていう想いを持てるようなアプローチを一番に考えていますね。
―― 主体性が身についていると感じる場面はありますか。
清水さん:時間を見ながら動いている姿から感じることがあります。今何をやらなければいけないのか、演奏会までの期間でどんな練習をしなければならないのか、そういう考える力はどんどん身についているように感じます。また、この間、5年生みんなで集まって、6年生になった時どういう風にしていきたいかの話し合いをしました。5年生は6年生の背中を意識していて、6年生が果たせなかった想いや、自分たちも引き継いでいきたいことは、こちらから促したりせずに彼らの中から自発的に出てきたので、6年生は背中を見せてあげられているんだなと思います。
「想い」を音に込めて
―― お二人にとって、吹奏楽団で教える魅力はどんなところですか?
渡辺さん:私は、小学校から大学まで打楽器をやっていました。人に教えるのが好きで先生になったこともありますし、吹奏楽団では、子どもたちに楽器を教えて「分かった」「こうやればいいんだ」と、上達した時に見せるほっとした姿や達成感を身近で見れるというのは贅沢だなと思いますね。
清水さん:学校の先生として、授業で教えているだけだったら関われないような、音楽を求めているところで子どもたちと深いかかわりが出来ているという感じがします。
―― 音楽の力や吹奏楽団の魅力とは、どんなものだと思いますか。
渡辺さん:音楽には、人の心を震わせる力が絶対にあると思います。以前、幼稚園の子どもたちの演奏を聴いたことがあります。幼稚園なので技術が高いわけではなかったのですが、子どもたちが先生の目をしっかり見ようとしていたところや一生懸命演奏している姿から、よしやるぞっていう思いが伝わってきて、すごく感動して泣きそうになった経験があります。やっぱり、演奏の良し悪しではなく、想いの強さが人の心を揺さぶるという魅力はあると思います。
清水さん:この吹奏楽団には、以前長らく顧問を勤めていた方が掲げていた「心から心へ」というテーマがあります。このテーマ通り、彼らが磨いてきた音楽を通して聴いている皆さんにも彼らの頑張りとか想いが伝わるのが魅力だと思います。
―― 渡辺さんも「心から心へ」は大切なことだと思いますか。
渡辺さん:そうですね。とても大事だと思います。それぞれに楽器の経験歴が違うのでクオリティはそれぞれ違うと思うのですが、演奏の良し悪しだけではなく一生懸命やっている姿はお客さんの心をすごく揺さぶると思うので、シンプルに「想い」はあってほしいなと思います。何も考えず楽譜通りに吹くのは打ち込みの音楽と変わらない。「自分はこういう風に演奏したいんだ」っていう想いは音に出て、お客さんの心にちゃんと届くので、自分はこうしたいっていうのはすごく大切にしてほしいなと思っています。
でも、自分一人の「想い」だけを全面に出してしまうと、他の人と混ざらない音になってしまいます。周りの音を聴いて、みんなで一つの音を届けようということで、子どもたちには「チームワーク」を大事にすることも呼びかけています。
―― これからの意気込みや、Pocci!のサイトをご覧になっている方々へメッセージをお願いします。
清水さん:いつも応援をありがとうございます。子どもたちの頑張っている姿を見ていただいて、演奏の出来だけではなく、練習の頑張りを感じていただけたらと思います。子どもたちは本当に頑張っているので、より一層の応援をお願い致します。
渡辺さん:地域の方々や保護者の方々へ、子どもたちの熱意を受け取ってもらいたいと思っています。応援した甲斐があるなって思ってもらうためにも、日頃の感謝を演奏を通じて届けられるようにこれからも頑張っていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

榴岡小学校吹奏楽団
私たち榴岡小学校吹奏楽団は、3年生から6年生まで総勢70名で活動しています。 いつも支えてくれる方々への感謝の気持ちを大切にし、「心から心へ」音楽をお届けできるよう頑張っています!
私たち榴岡小学校吹奏楽団は、3年生から6年生まで総勢70名で活動しています。 いつも支えてくれる方々への感謝の気持ちを大切にし、「心から心へ」音楽をお届けできるよう頑張っています!