ワンチームで念願の全国大会へ

1997年に創立された東仙台ミニバスケットボールクラブは、仙台市立東仙台小学校を拠点に活動しています。小学生の男女が所属しており、練習は火曜と木曜の夕方5時から夜7時、土曜と日曜朝9時から午後1時の週4回です。昨年は150試合が行われ、男子は第48回宮城県民体育大会バスケットボールジュニアの部で優勝し、全国大会への出場が決定しました。今回は、15年間コーチを務めて2025年から監督に就任した豊岡正吾さんに、チームの強さの秘訣やバスケットボールの魅力についてお話を聞きました。
インタビュアー:鈴木桃香（Pocci!学生チーム）

入念な準備で掴んだ県大会優勝

―― 県大会での優勝おめでとうございます！優勝が決まった時、どのようなお気持ちでしたか？
2年前からこの大会で優勝し、全国大会に出ることを目標に活動していたので、ようやく優勝できたなという喜びが大きかったですね。

―― 県大会の中で印象に残った試合はありますか？
準決勝ですね。その相手は私たちが追いかけていたチームだったので、試合の前に子どもたちと様々な展開を想定した作戦を共有しました。それが成功して勝った時には、すごく嬉しかったですね。バスケットボールの技術力だけでは勝てないので、子どももコーチたちも考えながら試合に臨み、その積み重ねで優勝できたと思います。

―― 普段の練習で意識していたことはありますか？
小柄な子が多いので、4クォーター走り続けられる体力をつけることに重点を置いて練習しました。

―― 現在は何名ほどが練習に参加していますか？
6年生が12名、5年生が12名、4年生が4名で、それより下の学年は日によって変わります。所属は幼稚園の年長からできます。

一秒一秒で展開が変わるスポーツ

―― バスケットボール初心者の子もいると思いますが、練習で工夫していることはありますか？
まずはバスケットボールで遊んで、慣れてもらえるようにしています。バスケットボールは重くて顔と同じくらいの大きさなので、ボールにぶつかるのが怖いと感じる子もいます。そのような時は、コーチがわざと自分の頭にボールをぶつけて、「痛くないよ」というのを見せて教えますね。

―― バスケットボールで必要とされるのはどのようなことですか？
バスケットボールは1秒1秒で展開が変わるスポーツなので、試合では次の展開を予測しながら動くことが必要です。それができるようになるためには、試合を見て学ぶことが大事です。

子どもたちはついボールを持っている人に注目しがちですが、実はボールを持っていない人たちの動きが重要です。ボールを持っているのは一人で、その周囲にいる人の方が多いからです。子どもたちには試合全体を見てもらうように「点ではなく面で見る」ことを伝えています。

―― 豊岡監督が思うバスケットボールの魅力とは何ですか？
シュートしたボールがリングに入ることです。バスケットボールのリングは、実際はボール2個分が入る大きさなのですが、想像より小さく見えますよね。そこに大きなボールを入れることが面白いです。また、チームプレイであることも魅力だと思います。同じ目標に向かって練習をし、試合で勝った時には嬉しさを、負けた時には悔しさを共感できます。それは、子どもたちだけでなくコーチも保護者も同じです。

互いに声を掛け合ってワンチームになる

―― 子どもたちに指導するうえで大切にしていることはありますか？
試合に勝つのはもちろんですが、人間性も成長できるように指導しています。接戦の試合ではもうひと頑張りしなくてはいけませんが、それは普段の生活でも同じような場面があると思います。子どもたちには、つらい時にあと一歩踏み出せる人に成長してもらいたいです。

―― 子どもたちには練習の際にどのような言葉をかけていますか？
良かったところは「いいよ」と褒めるようにしています。モチベーションが下がっている子には、その子のいいところを話して楽しい気持ちを思い出してもらえるようにしていますね。

―― 長年指導されていて大変なことはありますか？
チームが壊れることです。子どももそうですが、コーチや保護者の間でも仲違いしてしまうことがあります。それがきっかけで子どもがチームを辞めてしまい、人数が足りず試合ができない状態の時もありました。スポーツ少年団は子どもとコーチと保護者で成り立っており、チームでは「ワンチーム」をモットーに掲げています。そのため、お互いの言葉を聞いてコミュニケーションをとることが大事です。子どもには大人と同じように接し、保護者やコーチにはそれぞれの立場に合わせて話をするようにしています。

―― 最後に、今後の目標を教えてください。
東仙台ミニバスケットボールクラブは、地域に密着したチームとして、バスケットボールの楽しさを広められるよう活動を続け、宮城県全体を盛り上げたいと思っているので、楽しいと感じた子どもたちがチームに入ってくれたら嬉しいです。また、次に控えている全国大会では、6年前に出場した時に敗れたので、今回は勝ち越したいです。